2025.06.24「中高生の英語力が向上している」は本当? ― 文科省調査を読み解く 前編

みなさん、こんにちは。
今年も文部科学省から

英語教育実施状況調査

の結果が公表されました。
報道機関は、この結果を受けて

中高生の英語力が向上している

と結論づけていますが、果たして本当なのでしょうか。

実は、昨年もこの件に関して記事を書いています。
内容は重複するものも多いですが、どうしても
疑問が拭えないためあらためて書かせていただきます。

まず前提として、データがある以上、それを無闇に
否定するべきではないと思っています。
したがって、文科省が公表している調査結果を
直ちに否定するつもりは毛頭ありません。
ただ、問題や課題に対して解決策を見出す際には
多角的に分析する必要がありますので、あくまでも
その一環として書かせていただいております。
以下に気になっている点をまとめてみます。


① 英検3級のレベルに関して            

一般に英検3級は「中学卒業程度のレベル」である
とされています。
この言葉をどう捉えるか?です。
英検3級を持っているコは中学卒業レベルの英語力を
持っていると捉えていないでしょうか?
実際の教育現場に身を置き、日々、子どもたちと
関わる者として「それは間違い」と断言します。
一方で、(文法的な)出題範囲がその程度ですよ
という意味と捉えれば腑に落ちます。
また、問題レベルは非常に簡単です。
そもそもマーク式ですから、スペルが曖昧でOK。
ある程度、単語の意味がわかれば一次は合格です。
面接も「落ちたコを見たことがない」レベルです。
実際、五ッ木模試で偏差値45ぐらいのコであっても
英検3級は合格しています。
少なくとも、我々の世界においては、そのぐらいの
英語力のコを中学卒業程度のレベルとは認識しません。


② 英検3級の取得率に関して            

さいたま市では89.2%の中3生が英検3級相当以上を
達成しているとのこと。
これはこれで凄いことだと驚いています。
ただ、その一方で30%台の地域も名指しされていて
これはこれで気の毒だなと思います。
我々は教育現場にいますから、こういった記事を見て
30%台の地域がダメだとは全く思いません。
しかし、一般の方はそうではないでしょう。
特に、当該地域にお住まいの方々にとっては
非常に気になる数字かもれません。
しかし、このような数字にあまり意味はないと
僕は思っています。
また、この数字を上げるのは難しくありません。
単にこの数字を上げたいなら英検の受験を今までより
積極的に薦めれば良いのです。
あとは、良いか悪いかは別として、公立高校入試で
英検3級を優遇する制度を導入すれば、飛躍的に
英検3級の取得率は高くなると思います。
実際、大阪では公立高校入試の制度が現在のものになり
英検2級の取得者は増えてきています。
つまり、こういったことは各自治体の方針ひとつで
どうにでもなる数字であるため、実はそれほど評価に
値するものではないと考えています。


というわけで前編はここまでとさせていただきます。
後編に続きます。

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