2023.05.26計算問題の克服方法について
◆計算◆
1 1つの計算をマスターするには・・・(計算の勉強方法)
(1)計算の原点=九九
計算の原点は九九にあります。九九を覚えようとする時には、書いたり、口に出して音で覚えてみたり、九九の表をじっと見ながら覚えたりといろいろな手法を使って覚えたはずです。それに、○君は7の段を3回口にしただけで覚えてしまったのに、□さんは10回かかってしまったなど、必要な回数も個人個人によって差はあるはずです。
なのに、学年が上がるにつれて、計算の内容も複雑になるにも関わらず、九九以上に練習を繰り返しやることはなくなってしまいます。それに、決められた教科書の問題パターンや回数でみんなが同じようにできるわけがないのです。
(2)計算の才能
計算が速く、正確な子はみかけますが、これは計算の才能があるからでしょうか?暗算で5ケタ以上のものを数秒で解いてしまうなど、確かに才能のある子はいます。
では、早稲田、慶応クラスの受験をする子はみんなこの才能を持っているのでしょうか?
それは違います。早稲田、慶応クラスであっても、九九を覚えようとした時のように、繰り返しの練習と幅の広い対応をしていけば、誰でもこのクラスは狙えるのです。画一的な学習にとどまらず、必要な練習量をきちんと認識することが計算の勉強において大切なことだと言えるでしょう。
2 計算の重要性
(1)計算はどんな領域であっても超基礎であることが多い
計算はどんな領域であっても超基礎であることが多いのですが、決して計算≠基礎ではないことを理解しなければいけません。超基礎であることが多いということは、完璧でなければ困るということで、致命的なものになりえる可能性がとても高いということです。
(例)因数分解
x4-y4 高レベルにとっては基礎
低レベルにとっては応用
(2)積み重ね性
小学生の時、教科書レベルの算数のテストで80・90点取っているからといって、中学に上がっても同じ教科書レベルで80・90点は取れなくなってきます。それは、計算が全ての積み重ねであって、学年が上がるにつれて少しずつ複雑になってきますから、その分、ミスの出現率が高くなるからです。やはり、下位学年で習った内容の完成度が低いとその上には何も積み重ねることができませんので、計算はだいたいできるということではなく、完璧でなければいけません。
(例) 1 2
― + ― = ・・・10%ミス
4 3
1 2
正負の数 - ― - ( ― ) = ・・・20%ミス
4 3
a 2a
文字式 - ― - (- ― ) = ・・・30%ミス
4 3
(3)計算力
●計算力=速さ×正確さ
計算力は速さ×正確さで決まってきますが、やはり、そのバランスが大切です。計算はとても速く解くことができるが、ミスがとても多いとか、確実に正解は出せるが、時間がかかりすぎるなどバランスの問題があります。そこで、ある時間内にどの程度のものをこなしていればいいかという「標準完成時間」というものがあります。これは公文の相対表ですが、
合格点
標準時間完成 10分 → 60点
15分 → 80点
20分 → 90点
というように、時間と正確さのバランスが出ています。
(4)代表的なエラーポイント
(1)理解しにくい =小学生の通分計算などが代表的なもの
(2)定着不足をおこしている =小学4・5年生分数計算
=中学生文字式
代表的なエラーポイントは、上記の2点につきますが、だいたいの場合、(2)のパターンで落としていることが大半です。(1)のパターンは計算というものにおいてはあまり発生はし得ません。
(5)小学生にとっての計算
小学校1年生で、自分は計算が苦手だと認識している子供は誰1人いません。始めて、「苦手」「できない」などを意識するのは、九九をやりはじめた時からです。自分は人より速く5の段が言えただとか、クラスの中で、周囲と自分との比較を始める初めての体験です。
ですから、九九を早く言えるようにしてあげることは、算数に対しての自信をつけさせるにはとてもいいチャンスなのです。
(6)問題演習の手法
中学生までは毎日少しずつでもやった方がいい結果に結びつきやすいといえます。(習うより慣れろ)しかし、ただ数をこなすよりも、同じ問題を繰り返して練習する方がテンポ、リズムもつかめることになり、習熟度のアップがはかれます。
(7)集中力アップにも役立つ計算
集中力をつけるための道具として、計算はとても役立ちます。
集中力は深さ×(短い)時間ではかることができますが、その時間の部分に計算の勉強が当て込みやすい面があるからです。その深さによっては時間も長くなってきて、継続力という面にもつながっていきます。
集中力がない子には計算は特効薬といえるでしょう。
●計算は数学の自信回復にも役立つ
計算は数学に対しての自信回復にも役立ちます。単独で扱える円なんかよりも計算の方がいい道具と言えるでしょう。
(例1) 中1の方程式の応用はできなくても、中2の連立方程式の簡単な部分であれば成功体験をつけやすい
(例2)中3の1学期の式の展開、因数分解は単独でも学習しやすいので、割と簡単に点数が取れる単元です。